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「おい! そこの1年生、ぼーっとしていると危ないぞ」
「えっ!?」
俯いて考え込んでいたら少し離れた場所から注意をする大きな声にハッと顔を上げる。
声のした方を見ると上級生とおぼしきチャラチャラとした男子生徒が口に手を当てていた。
今になって気づいたんだが、僕の周りにいた生徒達がモーゼが割った海のように離れているのは何故?
すぐに気付いた。
いつの間にやら桜土埃の竜巻が眼前に迫っていた。
「ウソッ、いつの間にそんな近くに来ているの」
横に逃げようと思った瞬間には竜巻に巻き込まれてしまった。
――――
スゴいなぁ。
桜土埃の竜巻の中、頭上を向いてつぶやく。
僕の身長の5倍もの頭上では、腰まである髪を赤いリボンでくくっているポニーテールの女子生徒が縦巻きの髪型の女子生徒にキックしている所だった。
キックされた縦巻き女生徒は腕を使ってガードして、そのまま反撃のパンチをポニーテールの女子生徒に突き出した。
ポニーテールの女子生徒はパンチを身体を後ろに反って避ける。
僕の位置からは2人のスカートの中が見えるんだけどなぁ。
あの2人は戦いに夢中で僕の存在に気づいていないみたいだね。
「うーん、どうしよう。このまま傍観しているだけでいいのかなぁ? ん……」
ひとりで頭上を見ながら唸っていると状況が動いた(いや、さっきから動いているんだけどね)。
身体を後ろに反ったポニーテールの女子生徒(名前も知らないし面倒だからポニーテール娘と呼ぼう)は、縦巻きの女子生徒(この人は縦巻き娘と命名)の腕を太ももで挟んで螺旋状に回転しながら落下していった。
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