桜の戦い

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「あなたが思いつきでそういう行動に移すからわたくしたちが尻拭いをしなくては……」 うーん、僕を挟んで言い争う2人に少し疎外感を感じるんだけど。 「……ですから、まずは放課後に宣伝活動をして、充分に広まってから休み明けに勧誘すればいいのです。わたくしの練りに練った完璧なプランを崩さないでくれますか?」 「うるさいうるさいうるさい! そんなに待てないわよ。新入生が油断している今が勧誘のチャンスなのに」 「チャンス? 訊かせてくれるかしら」 「いいですとも、わたしの考えた新入生勧誘作戦とは」 ポニーテール娘は一旦言葉を溜めて勧誘作戦やらを語り出した。 「まず、ターゲットの新入生を校舎裏で拉致……いや、誘いだして入部届にサインを記入するまで閉じ込める。サインに記入したのち快く解放する。名付けて、らぶ・いず・かんゆう!!」 ポニーテール娘はVサインを作って高らかに言い放った。 ……いま、言葉のふしぶしに犯罪のにおいが漂っていたような気がするんだけど。ほら、縦巻きが額を押さえて呆れた表情をしているよ。 これはどう考えても、縦巻き娘の作戦のほうが正攻法でかつ犯罪のにおいが全くないからターゲットにされる新入生には被害がなくていいだろう。 「呆れた。あなたのプランは新入部員を増やすどころか部の存続にも悪い影響を与えかねないものですわ。やはり、わたくしのプランでいかせて頂きます」
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