別れ、旅立ち

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「ナオ……?」 気づけば、かおりが俺の顔を心配そうに覗き込んでいた。 「大丈夫ですか? ずっとボーとしてたけど……」 「大丈夫。ちょっと眠かっただけ」 本当は百合のことを思い出して悲壮感に浸っていたのだが、そんなこと言えるはずもなく、適当な嘘をついてしまった。 「そうですか……」 そう言って視線を前に戻すかおりの横顔は少し哀しげだ。 どうも、俺は嘘が下手らしい。 「ナオは百合ちゃんに会って何を伝えるつもりですか?」 かおりは視線を前に向けたまま、こちらを見ることなく、唐突な質問をぶつけてきた。 俺は窓の外の景色を眺めながら、口を開く。 「考えてない。百合に会った時、俺の口から出た言葉が俺の気持ちだと思うから」 そんな、ちょっと格好つけたことを言うと、隣でかおりが吹き出した。 「ふふ……。ナオらしいですね。計画性なさすぎですよ」 笑いながら、そう言うかおりを横目で見るとじっと俺を見つめていた。
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