白の世界で

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  【あなたは今の生活に満足をしていますか?】 俺は、答えは『NO』と答えるだろう。 決まった時間に起き、学校で友達とだべり、眠気と戦いながら授業を受ける。 変わらない毎日、変わらない日常、変わらない風景。 俺はそんな生活に嫌気がさしていた。 【ではあなたには、自分のそばにいてほしい大切な誰かが居ますか?】 「…そんな奴『もう』いねーよ。」 信号が青に変わり、俺は再び歩き出す。 信号で立ち止まっているわずかな時間でさえ、変なことを考えてしまった。 自問自答をしている自分が、なんだかとても馬鹿馬鹿しく思えて、自然と苦笑いが出た。 見上げた空は漆黒の闇に染まり、白い雪が少し降っている。 肌寒い12月。明日からは冬休みを迎える。 高校生活初の冬休み。生涯忘れることのない、長い…長い冬休みが。  
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