キッカケ…

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5月初頭、横浜の某高校に通う高校一年生の有崎祐介(アリザキユウスケ)は自宅へと続く慣れ始めた帰り道を歩いていた。現在時刻は8時30分、 「はぁ~、今日は遅くなったな」 居残りで帰りが遅くなり、溜め息混じりに呟いた。 今通っている学校は友達も殆んどいないし家からも遠いので余り好きではなかった。 そのせいか勉強の方がうまく行かず、今日放課後に残る羽目になった。 帰り道も7割位来たところでか…人通りが殆んどなくなった。 「まぁこの時間だしな」 辺りを見渡すと街灯も余りない。 「いつもは明るい内に帰っているから気付かなかったな…こういう所は早く抜けてしまうに限るな」 そんなことを考えていると少し先でドスッ!ダスッ!という人を殴るような重い音が聞こえてくる。 何か嫌だなぁ…とは思いながらも他の道を知らないから回り道も出来ない。 まぁ何かあっても知らん顔して素通りすればいいし…ヤバかったら警察に通報すれば大丈夫か。 そう思いながら暗い道を進んだ。 目に入ってきた光景は余りにも異常だった。 少し進んだ十字路で7~8人位の不良達が倒れている。 その中心には身長2メートルはあるんじゃないかと思うほどデカイ男が立っていた。 年齢は見た感じ4~50歳くらいか。男の右手は胸ぐらを掴まれ、じたばたする不良を持ち上げている。 何だよこれ、あり得ないだろ…と思っていると突然男がこっちを向いて 「まだ仲間が居たか…懲りない奴らだな」 と低い声で言った。 (何言っているんだこのおっさんは!) 不良を掴んでいた右手を放し、こっちに歩いて来た。 解放された不良は悲鳴を上げながら逃げていった。 (何か勘違いされてる…まぁちゃんと説明すればすぐ誤解が解けるか) 「え~っと、人違いだと思いますよ?」 すると男は 「仲間がやられるのを見て怖じ気ついたのか?」 と馬鹿にしたように言ってくる。 (いやいや違うから!) と心でわめきつつ 「どう見ても違うじゃないですか!」 そう言うと 「同じ格好をしてか?」 と聞いてきた。 ふと倒れてる不良を見てみると確かに同じ制服だった。 だからって一緒にするなよとツッコミたかったがそんな状況じゃなかった。 下手したら死活問題だ。 「いや、制服が同じだからって…」 と言いかけた所でいきなり腹部を殴られ、そのままふっ飛ばされてブロック塀に全身を強打した。 「うぐっ!」 全身に激痛が走る!
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