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まるで夢を見てる感覚に陥った。
振り下ろされ鉄パイプを軽くかわし、不良Aの鳩尾に蹴りを入れ、腕を掴み投げ飛ばした。
自分でもびっくりするほど体が軽い。
間髪入れずにナイフを持った不良が切りかかってきたが、手首に手刀をいれ、ナイフを奪うと手首を引っ張り掌底を決めた。
奪ったナイフを左手に持ち変え、不良達に
「これ以上やるなら容赦はしないぞ…」
と今まで出したことの無いような冷たい声で言った。
すると目の前の不良達はすごい勢いで逃げていった。
その他の奴等は逃げなかった。
正確にはおっさんにボコボコにされて動けないのだ。
おっさんはというと、傷なんてひとつも負っていない。
とりあえずひと安心か。
意識もはっきりしてきたし正直疲れた…いろいろあったがもう終わりだ。
(さっさと家に帰って寝よう、今日はこんだけ酷い目にあったんだ…明日は学校サボって一日中寝てよ)
そう思い歩き出そうとした時後ろから
「お前、武術でも習ってたのか?」
と聞かれた。
(疲れたんだからもう放っておいてくれよ…)
もう無視して行こうか、などと考えもしたが、また殴られたりでもしたらたまったもんじゃない。
「んなわけないでしょう?習ってたらあんたなんかに殴られてないよ…」
「それもそうか…そういえばお前さんはこれからどうするんだ?」
(何言ってんだこのおっさん…)
「家に帰るに決まってるっしょ」
「そうじゃない、あいつらお前と同じ学校なんだろ?顔も覚えられただろうし、いつまた襲われるかもしれんだろ」
(考えてなかった…どうしましょう?)
「まぁ疲れたからそれは後日かんがえるよ」
…と言うよりは今は頭が正常に働いてくれるとは思えない。
「最後に一ついいか?」
本当に最後なんだろうな…。
「別に良いけど?」
「家に帰りたいんだが道がわからん。悪いが家まで送ってくれんか?」
めんどくさっ!
「家何処だよ…」
「東京だが…どうも道が分からなくてな」
(わからないに決まってんだろ~がぁ~!…もしかして今何処に居るのかすら分かってないんじゃないか?)
そう思い、恐る恐る聞いてみた。
「ここ何処か分かってる?」
「横浜だろ?」
(分かってて言ってたのかこいつは!)
「駅からバスなり電車なり乗って帰れば良いじゃないか。わざわざ歩いて帰らなきゃいけない理由があるのか?」
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