彼女の羊水が枯れるまで

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くだらない恋愛。 愛と言えば聞こえのいいだけの中身のない関係。 その時のあたしは何も見えて無かった。 だって彼だけがあたしの世界だったから。 失う事なんて考えられない。怖くてたまらない。 毎日ヒロの近くで幸せになれる事だけ信じてた。二人の幸せを祈ってた。ヒロにひどい事をされてもあたしは待つしかなかった。 どんなに切なくても、彼のそばにいたかった。 その日暮らしの毎日。 あの日、すべてが変わったあの日。 今でも覚えてる。 「やばい…もう2週間も遅れてる…。」 もともと生理は不順じゃないほうだった。 余計に嫌な予感がする。 ヒロはコンドームを付けるのを嫌がった。 「膝の裏を触れば分かるんだよ。今日は大丈夫な日だ。今まで失敗した事無いからさ。」 失敗…。 その言葉を聞くたび胸がチクンとする。
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