彼女の羊水が枯れるまで

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ヒロはギャンブルが好きだった。 パチンコ、麻雀、競馬。 店のマスターとポーカーしてた時もあった。 悲しい事に博才は無く、持ってるお金を全て使ったりはしょっちゅうだった。 店には毎日のように飲みに来てお金を払い、デートではヘリコプターで夜景を見せてくれたり、レインボーブリッジの夜景が見えるスイートをとってあったり、時計、指輪、ネックレス…。プレゼントもくれたりした。 会社の社長。 私はその言葉を疑わなかった。 だから周りに女が寄ってくるのだろう、そんな風に思ってた。 付き合って3年目は結婚を考えるようになった。 そんなある日。 『♪♪♪~♪♪♪』 お気に入りの着信音。 ヒロからの電話だ。 「もしもし♪ヒロ?どうしたの?声が暗いよ?」 「会社が…倒産した。」 誰かの告げ口で、会社の脱税がバレたという事だった。 「えっ?!」 結婚するはずだった。 ドレスまで選んだりしてたのに。 本当なのか嘘なのか、一度も部屋にいけないまま、ヒロの会社は無くなった。 まるで魔法が解けたみたいに。
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