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「悪いけど、あんたの彼氏…信用できない。」
相談できたのは由樹だけだった。
「初めから会社なんて無かったんじゃないの?」
由樹が疑うのも無理は無い。あたしだって、何か腑に落ちないし。
でも…。
愛してるんだよ。
信じたいんだよ。
彼は嘘をついてないって。
だって意味が無いもの、そんな嘘をつくなんて。
(ナニガホントナノ?)
解らない…。
でも彼は言うの。
「俺が信じられない?」
目を見て言うんだよ。
都合のいい言い訳?
それとも本当なの?
あたしは諦めてヒロの目を見る。
「信じてるよ…ヒロ。」
会社が無くなってもヒロはギャンブルをやめなかった。
全く仕事が無いわけでは無く、知り合いのつてで少しの収入はあるようだった。
普通に暮らせば貧しくてもやっていけたはず。
違う仕事をしたら?と言ったら、「一度人の上に立ったら、誰かに使われるのは嫌なんだ。」そう言って聞く耳を持たなかった。
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