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コンコン
「失礼致します」
「どうかした、香織」
日曜日の朝、部屋でまったりしていたら遠慮がちなノック音と共に、メイド服を身に付けた可愛らしい女の子が入ってきた。
「樹里様、旦那様がお呼びでございます」
「そう……。場所は?」
「リビングでございます」
けしてメイド服にハアハアする人種ではないことだけは理解願いたい。
それに、桐陰家のメイド服は群青色に純白なレースが使われていながらも、控え目な印象を与えてくれる上品なもの。
香織はそれを見事なまでに着こなしているのだ。
その仕草、物腰、流石に若くして桐陰家メイド長である。
「分かった。今行くよ」
「畏まりました」
香織はそうつぶやいて、一礼すると気配を消した。
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