煌めきの向こう側

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  「リョウ、まだ序盤や」 既に熱を帯びた遼介の右肩を優しく撫で、千樹が声をかける。 だが、遼介は表情を固めたまま口唇をきつく結んでいた。 悪いと――心底申し訳ないと思っているのだろう。 3点、ひとりで叩き出してくれた……マウンドを譲ってくれた八尋に。 気もちは判らなくもない。 ただ……野球とは、団体競技とはそういうものだ。 誰かのミスを誰かが補い、試合を回してゆく――そこに優劣などはなく、まして決勝という舞台で責任や戦犯を追及する事などありはしない。 そういったニュアンスを皆が遼介に告げると、そこでようやく彼の顔に生気が戻った。 千樹の絶妙なタイムが功を奏し、遼介は続く4番を三塁ゴロに打ち取る。 自身の中に渦巻く葛藤に苦しみながら、遼介は小さく息を吐いた。  
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