名もなき老人の詩(3)

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そこは、都内湾岸の某倉庫。 相米と別れてから、タイミングよくローン会社の人間が東の前に現れ、 報酬をまとめて渡すと言われ、そのまま車でこの倉庫に連れ込まれた。 倉庫内には既に実行犯全員が集められており、 残すは、東の到着だけとなっていたのだが…。 「先日はご苦労だった。だいぶ待たせたが、表ざたになったら困るんでな、ここで報酬を渡す事にした。現金もちゃんと用意している」 ローン会社の社長が、部下に持たせていたアタッシュケースを開けさせると、確かにそこに現金はあった。 東を含め、飢えていた四、五人が、その現金を見て目の色を変える。 「順番に渡していくから、集まってくれ」 社長はAの札束を手でパンパンはたいて、皆を集める。 すると、倉庫の表に別のワゴンタイプの車が到着し…。
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