名もなき老人の詩(4)

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ぶつけただけならまだしも、ナンバープレートを隠して走行しているその異様な模様の車に、 石井はどんどん頭に血が昇っていった。 「チッ…この忙しい時に!」 横につけ、止まれという合図を送ったが、スモークに隠れて、中の様子が判らない。 それどころか、横につけた所で更に小津は、石井の車に体当たりして、スピードを上げて逃走していく。 「どこまでもナメおって!!」 完全に理性を無くしてムキにさせた。 こうなると、これが小津の罠である事など全く疑う余地もなく、 二台の車は、交通量や人通りの少ない、工場地帯に入っていった。
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