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建物をぐるぐる周り、つかず離れずの距離を保ちながら、小津は片手でキーボードを叩いていた。
後ろから追突した瞬間から、既に小津は、石井の車にある物を取り付けていたのである。
しばらくして一度止まり、サングラスをかけたまま降りてみせると、
「?…ったく、世話焼かせやがって…」
そう言いながらドアを開け、石井も降りようとした時だった。
あの時の黒い球体が車体の下からコロコロ転がり、
それは球体からクモの形に変形すると、石井の背中に飛びついた。
「!?…」
背中に違和感を感じた時には、既に遅かった。
カサカサよじ登り、首筋の動脈に爪が刺さると、その先端から高い濃度の麻酔が流れ出し…。
小津に近付こうとするも、やがて石井は意識を無くして、その場に倒れ込んだ。
「…マダム、ご注文、上がりました」
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