名もなき老人の詩(4)

21/36
3084人が本棚に入れています
本棚に追加
/819ページ
「ご苦労様。用意した場所があるから、トクちゃんのナビに従って、連れて来てちょうだい」 「了解」 「楽しみは…これからよ」 マダムはもう一つの気掛かりであった、警視庁の中の様子に目を向けた。 エレベーター前は、死体を片付けても既に血まみれの状態であり、 誰か他の者が見つけた瞬間、大騒ぎになる。 山田達を連れ出すのは、もしかしたら無理になるかもしれないと、 そう半分諦めかけていた時だった。 山田の携帯に、部下からの着信があり、 「車の手配が出来ました。内部に潜んでいた不審者も捕らえる事が出来ましたので、至急、地下駐車場にお願いします」 これでエレベーター前の血の痕の理由が成立すると、 山田達は少し安堵の空気を出しながら、何の疑いもなく、揃って地下駐車場へ出向いて行った。 死体は全て、階段の踊り場に山積みにされているのも気付かず…。
/819ページ

最初のコメントを投稿しよう!