名もなき老人の詩(4)

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「やっぱり来たわね…」 地下の駐車場。 背をもたれて座り込んでいる天城に近寄って来たのは、マダムであった。 「てめえらも来てると思ったぜ…。どうせエレベーターに細工でもして…今頃、中で残りも始末してんだろ?」 「半分当たりで、半分間違いね…。ただ殺すだけじゃつまらないから、これから生き地獄を味あわせてあげるの…」 「…そうかよ、勝手にしろ」 お互い、もう後戻りは出来ない現場にいる。 刑事を殺した刑事と、 幻の裏の集団。 たまたま事情が重なり、行きずりでこうなったが、 天城は憎む感情から過ちを犯した事に変わりはない。 お互い見なかった事にしようと、天城はそのまま、その場を去ろうとしたが…。
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