名もなき老人の詩(4)

29/36

3084人が本棚に入れています
本棚に追加
/819ページ
「…てめえ…見たな?」 サングラスの奥で睨みつける相米。 「…だったらどうした、この貧乏ハゲ野郎」 どちらかの銃に手をかけようとしている天城と、 昔の私怨と、見た者は必ず消す掟が入り交じり、臨戦態勢に入った相米。 重い一触即発の空気の中、インカムからトクの声が聞こえた。 『睨み合ってるヒマなんかありまへんで。あと一分でハッキングのリミットです。 警備システムが作動せん内に、はようそこから出て下さい』 「そういう事よ、鉄ちゃん。 天城さん、そこのバンまで、もう一仕事してもらえないかしら? 連れて来てちょうだい」 強気なマダムの一言は、制止する追い打ちになった。 二人はそれから一言も口をきかず、一人ずつを抱えて、 マダムが運転するバンまで、運んでいった。
/819ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3084人が本棚に入れています
本棚に追加