名もなき老人の詩(4)

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『リミットアウトです。お待ちしてますよ。あ、ちゃんと掃除はしときますよってに…』 「乗りなさい。いくらあなたでも、歩いてたら怪しまれるわ」 そうして言われるまま仕方なく天城も乗り込むと、バンは、警視庁から全速で逃走した。 おびただしい死体が転がる下の階は、しばらくするとシステムが正常に作動し大騒動となったが、 そんな建物の高い部屋から窓の外を見つめ、 逃走していくバンを見送っていた男がいた。 「スティング・バンガード…ククッ…なるほど、噂通りのチームだ…」 男は、夜で暗い部屋であるにもかかわらず、薄いサングラスは決して外していなかった。 それは、この一件によって、自らの野望が動き出す事を隠しているようにも見え…。 この国にとって、後に一大事件に発展するゲームの幕が、切って落とされようとする瞬間でもあった。
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