フラグ1§転入生§

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「なんか大丈夫そうね」 「ちょっと待てい!」  母の言葉を慌ててストップ。  危ない危ない、ちょっと意識をしたらアウトか。  なんてスリリングなんだ。 「そもそも、葵ちゃんって誰?」 「私ですが……」 「そうじゃなくて――」  俺は大きく息を吸った。 「俺と一体どういう関係?」 「だから将来の……」 「過去を聞いているのだよワトソン君」  正直、ワトソンって言葉はあまり使いたく無い。  何故ならうちの学校にワトソンがいるから。  ……と余談はやめておこう。 「え……」  とたんに彼女はその瞳に悲しみをたたえた。  母も、驚いた様な顔で俺を見ている。 「あんた……葵ちゃん覚えてないの?」 「いや、まったく」  俺の一言で二人は顔を見合わせた。  なにやら計算外だったらしい。  二人から感じる空気が、少し複雑なものに変わる。 「……構いません」  彼女は言い切った。  俺は首をかしげる。 「忘れてしまったなら、また一から思い出を作り直してみせます」  なにやら彼女の一大決心。  感動的なシーンだね。  ワーワーパフパフ!
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