59人が本棚に入れています
本棚に追加
「少し話そうか」
俺は布団の上に居続ける葵に向かってペットボトルを投げた。
彼女は危なっかしい動作でそれを受け取る。
俺は俺で、自分様に買って来た缶コーヒーを開けると口を付けた。
夜にコーヒー飲むと寝れないとか言い出す奴等がいるが、個人的な意見を言わせてもらえば、そんなことはあり得ない。
俺なら寝たいときは寝たいとき。
いつ何時でも俺なら寝たいときに寝れる。
絶対の自信でもってそう言える。
彼女がジュースを一口含むのを待って、俺は続ける。
「何だって俺何かと結婚だとかそんなことをしに来たんだ?」
立て膝をついたまま言うと、彼女はうつ向いた。
ショートの髪が切なく目に影を作る。
「ご迷惑……でしたか?」
絞り出す様に、彼女は言った。
ジュースを持った手が小さく震えている。
「そういう事じゃない」
俺は立てた膝にコーヒーを持った手を乗せ軽く振った。
コーヒーが波音を立てる。
残量は三分の二くらいだろうな。
重さから推察するにそれくらいだろう。
「だって、さっきからの態度は……」
「俺が言いたいのはどういうつもりで来たかってことだ」
最初のコメントを投稿しよう!