フラグ1§転入生§

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 ……しまった。  俺としたことが、つい真面目になってしまった。  いや、本来は真面目になって良いんだろうけど。  だけどさぁ、なんかほら、重いじゃん。  俺、重いのは苦手なわけで……  ……すいません、自重します。 「……とりあえず、布団から出てくれないか?」 「嫌です」  ……何か、耳がおかしくなったらしい。  いや、質問を間違えたのか?  きっとそうだ。  もう一度、一文字一文字、意識して質問してみよう。 「とりあえず、布団から、出て、くれない、か?」 「嫌です」  ……俺の方に悪いところは無かった、間違い無い。  と、なると、問題は彼女の方か。 「何故ですか?」 「まずは私の身体のことを隅々まで知って貰おうかと」 「さぁ、朝です。早起きって気持ち良いなぁ」 「あぁっ! 布団から出ないでください! せめておはようのキスを!」 「さて、此処に布団があると朝食の邪魔だな。片付けよう」 「ちょっと、布団でくるまないで。あれ、以外と力持ち……やめて、肩に担がないで、せめてお姫様だっこおぉぉぉ……」  青い春と書いて青春。  空は青く澄みわたり、春から夏へと移る、季節の風。  俺の高校時代、夏の始めの出来事だった。
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