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なんだかんだで終わった葵の転校初日。
結局、彼女は俺と一緒に帰ってきてしまった為に、あまりクラスの連中とは話していなかったらしい。
うん、その辺は素直に謝罪しよう。
すまなかった。
……うん、心の中でだけね。
口に出したら調子に乗るであろうこと、昨日で散々分かった。
気を抜いてはいけないのだ。
朝のホームルームで寝てはいけないのだ。
あぁ、さらば、俺の睡眠時間。
俺はもっとお前と一緒に居たかったよ。
切ない嘆きは心の中におしとどめて、現在の様子を三文字で報告しよう。
登校中。
はい、終わり。
つまり、俺は今、学校への道をチャリで飛ばしているわけだ。
――葵?
彼女は流石にまだ自転車なぞと言う文明の力は持っていない。
だから、彼女は今日はバスだ。
後ろに二人乗りしよう、なんて言ってきたが、一言で切り捨てておいた。
道交法違反だ、と。
警察に捕まりたくはない、と言ったら、法律なんて愛の前には無力よ! だとさ。
てやんでい、べらぼうめ!
とりあえず、半力ずくでバスに乗せ、今は悠々と学校への道を快走しているわけだ。
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