59人が本棚に入れています
本棚に追加
「――さん。ほたるさん!」
身体が激しく揺れていた。
意識の端っこの方で声がする。
あぁ、どうやら夢の続きの様だ。
「起きて下さい、授業始まっちゃいますよ」
揺れる頭、耳元での囁き。
魔王はさっき倒した筈だ。
聖剣エクスカリバーを頭に突き立ててやった。
これ以上の仕事はオーバーワークだ。
残業代金を払ってもらおうか。
「残業どころか、始まってすらいませんよ」
なんと酷いことを。
まさか、俺に二重人格なんか期待しているのではあるまいな。
生憎と、俺はいきなり戦闘能力の上がるもう一つの人格や、引きこもりで天才な友人とは無縁だ。
「もう……あの起こし方するの? は、恥ずかしいんだよ」
何をおっしゃるか。
天上天下唯我独尊。
この蛍、逃げも隠れもせぬわ!
「うぅ……」
顔に違和感。
ひんやりとしたものが両頬に触れている。
これは一体……
最初のコメントを投稿しよう!