嘘つき少年の気紛れ

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『癒シテアゲヨウカ?』 その日は生憎の雨だった。俺は心の中で雨に悪態をつきつつ、ベッドでゴロゴロ出来る事に感謝していた。俺は雨が嫌いだ。ジメジメしてるしザーザー煩いし。しかも化粧を流れ落とすだろ。だけど有難い時もある。雨より煩い(失礼だが愛してはいる)俺の彼女に遊びに連れ回されなくて良いって事。何連続か連れ回されるのは少し辛い。あいつも雨が嫌いだ。そういや最近あいつが熱中してる奴がいるらしい。確か大学2年の後輩だ。友達によるとあまり近付かない方が良いとか、何か気になるような言い方をされた。何故だ。俺の彼女の話だと『かっこよくて、ちょっと不思議な雰囲気が漂ってて、もう本当綺麗なの!話し掛けてみたら、めちゃくちゃ好青年で、どうかしました?って!!!もーきゃーっってなっちゃったあ』と大好評だった。少し拗ねれば俺の彼女は直ぐに『もー拗ねないで、あなたが一番だから』と言ってくれたので満足。満足。元々俺らは所謂同性愛と言う奴で。俺俺言っているが俺は生物学上、女である。その点に関してはあまり二人とも気にしない。そもそも彼女はそんなことを気にせず俺を好いていてくれてる。そんなとこが俺も凄く好きだ。世界がなんと言おうと別にかまわない。冷たい目で見るなら見れば良い。別におかしなことはしていない。だって人間が人間とで愛し合う事には変わりは無いのだから。話は変わるが、さっきその彼女からメールが来た。 📩 ──────── ⏰:4/1 12:00 From:梓 Sub:無題 ──────── 今から 安希の家に 行って良いかな?   - END - ──────── でも少し様子がおかしいのが文面から読み取れる。何時もなら家を絵文字の“🏠”に変えるし“♥”とか絵文字を取り入れるはずの彼女のメールは何時もより寂しく思えた。俺は何かあったのかと思い、即座に返信。内容はもちろんおいで。迎えに行こうかと言ったものの断られた。 数十分後 彼女はやって来た。しかし俺は吃驚してしまった。なんせ彼女はずぶ濡れで来たからだ。流石にこれは何かあったのかと心配するには最高のシチュエーション。しかし彼女が包丁を持っている時点で俺の考えは色々粉砕された。そして俺は別の考えが浮かぶ。 嗚呼彼女は俺を殺す気か。 ,
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