宴の後に残ったものは

8/17
272人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
俺たちが学校へ戻るとグラウンドに部員はいなかった。 当然マネージャーもいない.... 監督の姿もない.... 「なんだかなー。」 でも正直ホッとした俺がいた。 「練習しようぜ。」 俺と松本はピッチング、他は広瀬を中心にノックを始めた。 俺は投げる前に松本の所に駆け寄った。 「ちょっと試したいのがあるんだ。」 松本が不思議そうな顔をした。 「何?」 ゆうべ寝る前に本で読んだ憧れの球種。 「スライダー。」 松本が目を丸くした。 「か、川中....投げれるのか?」 俺は首を横に振って答えた。 「いや、投げれればいいなと....」 松本は肩を落としため息をついた。 「なんだ....」 その態度に俺はちょっと腹が立った。 「まだ投げてもいないのにそれはねーだろっ!とりあえずやってみるからっ!」 松本を座らせて俺は投球モーションに入った。 握りはこう.... 切るように.... 「ふんっ!」
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!