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「拓哉! 起きなさいよ。授業終わったよ」
耳元で叫ばれて安眠を邪魔された拓哉は、驚きながらも起き上がった。
高校生になってもいまだ全くの無造作な黒髪。
気だるそうな顔。
それだけを見ればどこにでも居る高校生だが、拓哉の場合それは違った。
引き締まった体に、その中でも特に目を見張る足の筋肉。
生粋のサッカー馬鹿である。
「なんだ、由衣か。びっくりさせんなよ」
拓哉は、自分の机の前で仁王立ちをする人物。中川由衣を見て、苦笑しながらもそう言った。
「サッカー部って今日からだよねー」
由衣は、裁判官が刑を告げるかのようにそう言った。
「あ・・・・・・」
由衣が気付いた時には既に拓哉は走り出していた。
「感謝しなさいよー」
本人に聞こえているのかは分からないが、由衣は全力で廊下を疾走する拓哉に向かってさけんでいた。
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