1571人が本棚に入れています
本棚に追加
「気をつけてね。」
玄関に座って靴紐を結びなおしていると、うしろに智稀が立つ。
突然の声にびっくりして振り向くと、悠也も一緒に立っていた。
「「いってらっしゃい!」」
二人は、優しい光を放つ茶色い大きな瞳を綻ばせ、にっこり笑って見送ってくれる。
(だから……新婚家庭かよ…。)
「い、いってきます……。」
笑顔で送り出してくれる親子にこちらも笑顔を返す。
智稀の部屋を後にすると、先程の出来事が急に恥ずかしくなり、その場にしゃがみこんでしまった。
「どうかしましたか?」
前から人が歩いてくる。
心配そうな声だ。
.
最初のコメントを投稿しよう!