波風

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「決まっています」 レンカはこちらに歩いてきて、杏菜の手と自分自身の手を俺に握らせる。膨れっ面をかく、ハルカさんをなだめる暇も無く、俺の額からはダラダラと冷や汗が垂れてきていた。 個人の都合は良いがレンカの家には泊まれない。杏菜の本来の住所不明。ハルカさんの家も都合が悪い。――ならば、残っているのは誰だ? 「まさか……」 「そのまさかです」 「あ、分かりましたー」 杏菜が手を挙げながらぴょんと小さく飛び跳ねた。その仕草でハルカさんも理解したようだ。 俺か?言わずもがなだろう。沈んでいたさ。これからどうなるか、俺は分かりきっているから。 ハルカさんは笑顔で、 「陣くんの家にお泊り会ーっ!」 地獄への招待メッセージを口にした。
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