夜風

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カーテンは閉まっている。胸を撫で下ろし、左手にあるトイレで用を足した。 そしてトイレを出て脱衣所に背を向けたとき――何か、いや、誰かのくぐもった声が洩れ出てくる。 『わー!ハルカさん、大きいんですねー!』 これは杏菜の声だろう。いや、大きいって何が? 『いいなぁ、羨ましいです。ハルカさんのおっぱい』 「ぶっ!」 『むむ、待ってください杏菜。今陣の声が聞こえました』 杏菜の台詞に思わず唾を吹き出してしまった俺の声を、レンカが察する。相変わらず鋭いヤツめ……。 『気のせいじゃない?陣くんが覗きなんてするはずないし』 『……言われてみればそうですね。ヘタレの陣にそんなことが出来るはずがありませんでした』 ここは信頼されていることを喜ぶ所か?それとも罵倒されてることを悲しむ所か? 『陣くんってエッチなのかエッチじゃないのかよく分かんないよねー』 決定。悲しもう。
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