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高校を卒業し、実家を出てからも、腐れ縁と言う奴だろうか、美依と俺は同じ大学に通う事になった。
美依に腕を引かれ加入したサークルは、またなんとも奇妙珍妙なサークルで、退屈はしないが、大学の仲間達には公表し難いものだった。
何やら長ったらしいサークル名が付けられていたが、それをわざわざ覚えてるほど俺も暇じゃない。
そんな一味も二味も違うような毎日をそれなり満喫していた初夏。
実家からの突然の訃報が届いた。
爺ちゃんが死んだと言う訃報は美依の元にも伝えられ、俺と美依は丁度休日にあたった爺ちゃんの葬式に共に出席したわけだ。
葬式の後、赤く目を腫らした美依の背中を摩ってやっていた電車の中、ポケットで携帯が震えた。
何時また泣き出すか分からない美依の心配をしながら携帯のディスプレイを開いた。
表示されていた電話相手はお袋だった。
「もしもし、お袋どうした? もしや、爺ちゃんがひょっこり生き返りやがったか?」
葬式をして間もないにも関わらず、俺の無遠慮な応対に対し、電話の向こうからは呆れた様子のため息が返ってきた。
俺の隣で俯せていた顔を上げ、美依が冗談を真に受けたような表情で見つめてくる中、お袋が話し始める。
『あんた、阿保な冗談ばっかり言ってちゃ、本当に阿保になるわよ? まぁ、あのお爺ちゃんなら蘇りかねないけどさ……』
電話から漏れる会話に耳をそばだてていた美依はがっくりと肩を落とし、また泣きそうな表情を浮かべ始める。
「それで、どうしたんだ? 俺の冗談聞く為に電話したんじゃないんだろ?」
『当たり前でしょ。それでさ、お爺ちゃんの遺品なんだけど――――』
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