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無数の光の欠片が散らばった闇の世界。
分厚いガラス越しに手をかざすと、闇はひんやりと冷たく、徐々に体温を奪い取っていく。
いつ眺めても変化がない。
だが、ベルティスは知っている。
光のような速度で移動している自分たちを囲む景色は、刻々と移ろいで行っているのだと。
景色。
果たして、景色と呼べるほどのものだろうか。
窓の外に広がる景色は常に星空だ。
頭上はもちろん足下も。
透明ガラスに囲まれたこの場所に立つと、宇宙空間に放り出されたような錯覚に陥る。
(だけど、好き。この場所が)
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