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腰の辺りまで伸ばされた白銀の髪は1つに結われ、瞳は燃えるような赤。
誰にでも優しい物腰柔らかな青年だった。
レムはどうやら2人に差し入れを持って来てくれたようで、温かいミルクティーと、仄かに紅茶の香りがするクッキーの乗った皿をバジルに差し出した。
「ミルクには心を落ち着かせる効果があると言うよ。はい、アイリーンも」
「すまない」
アイリーンはレムからカップを受け取り、近くにあった椅子に腰をかけて足を組んだ。
「うむ、良い味だ」
ミルクティーを静かに啜り、満足気に頷くとレムは嬉しそうに微笑んだ。
「良かった。市場で良さそうな茶葉があったからね。ちょっと高かったけど、皆で飲もうと思って奮発して買って来たんだよ」
「このクッキーはレムが作ったのか?」
「うん。…もしかして不味かったかい?」
レムの表情が曇り、バジルは慌てて首を横に振る。
「いや、寧ろその逆!滅茶苦茶旨い!」
「それは良かった。皆にもお裾分けして来ようかな」
すっかり気分を良くしたレムは、軽く手を振りながら部屋を後にした。
バジルは軽く笑って、ミルクティーを飲み干しカップをテーブルの上に置いた。
「あいつ、良い奴だよな」
「ああ…レムか?」
アイリーンも優しく微笑む。
「そうだな。奴は──不思議な奴だ。どんなに冷えきった場でも暖かく、居心地の良い場所にしてしまう」
「ああ、それでいて強いしな。俺の憧れだよ、レムは」
バジルは制服の上着を脱ぎ捨て、ごろんとソファーに寝転がった。
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