6人が本棚に入れています
本棚に追加
「──リベラルです。…バジルさん?」
リベラルは任務を終え、任務完了の証である報告書を上司のバジル・オリエントに提出すべく、彼の仕事部屋を訪ね、扉を軽くノックした。
しかし、中から返って来た声は聞き覚えのある少女のもの。
「リベラル君?いいわよ、入っても」
リベラルは首を傾げ、戸惑いながらも扉を開ける。
「失礼しまーす…」
中に居たのは鬼ような形相で山のような書類達とひたすら格闘している上司──ではなく、華麗な美少女であった。
「ルミナさん、お久し振りです。…ええと、バジルさんは?」
部屋内に入り、辺りを見回すがバジルの姿はどこにも見当たらない。
「出掛けてるわ。今日は彼にとって特別な日──だから」
机の上に置いてある卓上カレンダーには、確かに今日の日付 3月17日の所に赤い印が付いている。
「あ、そうか…今日は…」
リベラルが思い出したように呟くと、ルミナはそれを肯定するように寂しく俯いた。
「そう。今日はバジルの良きパートナーでもあり、私達にとっても掻かせない存在だったアン姉さんが、亡くなった日よ」
最初のコメントを投稿しよう!