*第一幕*

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腰の辺りまで伸ばされた白銀の髪は1つに結われ、瞳は燃えるような赤。 誰にでも優しい物腰柔らかな青年だった。 レムはどうやら2人に差し入れを持って来てくれたようで、温かいミルクティーと、仄かに紅茶の香りがするクッキーの乗った皿をバジルに差し出した。   「ミルクには心を落ち着かせる効果があると言うよ。はい、アイリーンも」   「すまない」   アイリーンはレムからカップを受け取り、近くにあった椅子に腰をかけて足を組んだ。   「うむ、良い味だ」   ミルクティーを静かに啜り、満足気に頷くとレムは嬉しそうに微笑んだ。   「良かった。市場で良さそうな茶葉があったからね。ちょっと高かったけど、皆で飲もうと思って奮発して買って来たんだよ」   「このクッキーはレムが作ったのか?」   「うん。…もしかして不味かったかい?」   レムの表情が曇り、バジルは慌てて首を横に振る。   「いや、寧ろその逆!滅茶苦茶旨い!」   「それは良かった。皆にもお裾分けして来ようかな」   すっかり気分を良くしたレムは、軽く手を振りながら部屋を後にした。     バジルは軽く笑って、ミルクティーを飲み干しカップをテーブルの上に置いた。   「あいつ、良い奴だよな」   「ああ…レムか?」   アイリーンも優しく微笑む。   「そうだな。奴は──不思議な奴だ。どんなに冷えきった場でも暖かく、居心地の良い場所にしてしまう」   「ああ、それでいて強いしな。俺の憧れだよ、レムは」   バジルは制服の上着を脱ぎ捨て、ごろんとソファーに寝転がった。
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