79人が本棚に入れています
本棚に追加
むかしむかしあるところに、シンデレラと言う少女がいました。
シンデレラの家は裕福な貴族で、両親に連れられてお城の舞踏会にも行ったことがあり、そこで、
「あの子はきっと素敵な婦人になるだろう」
と噂されるほどの容姿を持っていました。
家族三人は幸せに暮らしていましたが、あるとき母が亡くなります。そして父もあるおとなしい女性と再婚した後に亡くなってしまいます。
すると、今までおとなしかった継母とその連れ子である義妹達は手のひらを返したように傲慢に振舞うようになり、
「貴方の父親と結婚をしたのは、財産が目当てだったからよ」
とシンデレラを目の前にして冷然と言い放ったことさえありました。
扱いも酷くなり、ドレスは取り上げられ、食事も寝るところも召使いと同等かそれ以下、屋敷の掃除や食事の支度などもやらされ、あるとき暖炉の中を掃除して灰をかぶった姿を見た継母たちに、
「貴方にはそれがお似合いよ、シンデレラ」
と嘲笑を浴びせかけられたこともありました。
そんなシンデレラは自分の不幸を嘆いては涙する日もありましたが、優しい召使い達に慰められて何とか毎日を過ごしていました。
それから数年後の事です。
ある日、お城から舞踏会の知らせが届きます。
一昔前ならば、どんなお化粧をしようか、ドレスは何を着て行こうか、などと考えながらあたふたとしていたのですが、今ではそんな事はお構いなしに朝から庭の草むしり、昼は屋敷の雑巾がけと、いつもとなんら変わらない一日を過ごします。
そんなシンデレラの、雑巾がけの途中で汚い水の入ったバケツを”あたふた”と持ち歩いている様子を目にした継母達は、
「それが終わったら夕食の買い物に行ってちょうだい。でも、私達の分はいらないわよ。お城で豪華なディナーをいただいてくるから」
と嫌らしい笑みを浮かべながら言い、豪奢なドレスをなびかせ、周囲に見せ付けながら屋敷を後にしました。
最初のコメントを投稿しよう!