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幼いころ、
「あの子はきっと素敵な婦人になるだろう」
と噂された通り、正装したシンデレラは人の目を惹いては離さぬほどの美しさを周囲に放つようになっていました。
そのお陰で、本来は招待状がなければお城の門すらくぐれないところを、是非にとお願いされるかたちで城内へ招かれます。舞踏会の会場に着くと、
「あの美しい女性は誰だ」
と皆は噂しあい、男達は入れ替り立ち替りシンデレラの前に立ち、グラスを合わせ、自分に気を向かせようと甘い言葉を投げかけていきます。
ただ、シンデレラはあまり楽しくありません。
或る意味で帰るべき場所へ帰ってきたというのに、召使い同然の生活が長かったせいか、周りのきらびやかさに気圧されて呆然と立ちつくすだけしかできなく、話しかけてくる男達にも愛想笑いを浮かべるのが精一杯だったからです。
男達はシンデレラを離さず、場内では手持ち無沙汰な女達が増えてしまいます。自然、女達は固まって、自分達の相手を奪い続け、しかもそれを適当にあしらっている女に腹を立て、陰口を言い始めました。勿論、男達への対応に追われるシンデレラは、気付くことはありません。
それからどれくらいたったか、男達は漸くシンデレラの事を諦め他の女とダンスを踊り始めましたが、それでも彼女のもとへやってくる男はいなくなりません。その中に魅力的と思える男もいましたが、どうも乗り気になれず、愛想笑いを浮かべるだけの時間に気疲れしてしまい、隙を見つけて帰りたいと思うようになっていました。
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