霞む道の行方

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あの方達と出会ったのは、小さな小川と辺り一面に伸びる草で覆われた平地での事です。 鈴と共に山を下り、しばらく歩いて辿り着くこの場所は、山にはない植物の恵みにあやかれるからで、たまに訪れていました。 あの時も二人で夢中になって、綺麗な花や豊かな実をつけたものを見つけてはしゃべりながら拾っていく。 どれほど経ったか、太陽が雲に隠れた時だった…。 地面ばかりを見ていて、足音を隠して忍び寄る存在に気付かなかった。 紗霧と鈴の間にかなり距離が離れていたことが、後に幸いになったと今でも思ってしまうぐらい。 二人に近寄づく気配は、数人によるものだった。
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