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平原の奥にはまた別の森の入口。
あそこに入ってしまえば…、このままじゃ……。
村にも家族にも、二度と帰れなくなってしまう。
気を強く持とうと、泣きたいのを我慢していた…、限界になりそうだ…。
瞳が潤んで、紗霧の視界が霞む。
『…っ……(もう、駄目…かな、私)。』
涙が一滴、頬を滑る。
心細くなった時だった。
一俊の、風切り音。
何かが素早く横切る音。
『ぐはっ…。』
男達の一人が、鈍い声で前に倒れた。
倒れた男の背中には、一本の矢が突き刺さっていた。
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