一番:追われる彼女と巻き込まれた彼氏

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もう一人で生活している今でも、 やっぱり僕は秘密を隠している。 だってそうだろう。 決まり事だらけのこの国では異形ははじかれる。 知られた途端に安穏な生活はできなくなる。 「カズラってば、ほら! 家に着いたらまた出てきていいから」 一応注意してみるも、 カズラは鼻をならすように強酸をどこぞの壁に飛ばしただけで やっぱり引っこんでくれない。 この子は結構強情だ。 仕方ないので人に見られないよう、 更に人気のない裏通りへと足を運ぶ。 植物達が思いがけず出てきた時のために 人に会わずに帰る方法は何通りか習得済みだ。 人が通らない所は光の差さない薄暗い場所が多い。 それとも薄暗さを嫌うから人が通らないのか。 視界の悪い中、 身をかがめて狭い通路を通り抜けたり 足場の悪い場所を跳び越したりして着々と家へと近づく。 その間カズラはやっぱり引っこんでくれなかった。 日の差さない路地が嫌なのか 時折ぎゃいぎゃいと背後で暴れている。 「暗いのが嫌なら引っ込めばいいのに……」 そうぼやきながらも僕ははて、と首を傾げた。 これまで僕から生えてきた植物の中でも カズラは特に日の光を好む。 そしてわがままで強情だ。
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