一番:追われる彼女と巻き込まれた彼氏

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引っ込まないのはその性格故かと思ったのだけれど…… 光が好きなカズラがこんな薄暗い路地裏で いまだに出っぱなしなのは少しおかしいかもしれない。 おまけに暴れ方も段々とエスカレートしてきた。 「ちょっと、カズラ?」 その尋常でない暴れ方になんとなく異変を感じて カズラの方を振り向く。 カズラはあろう事かついに傍の壁に 体をぶつけ始めたのだ。 今までにない暴れ様に僕は戸惑った。 現代の平和なこの国で おそらく90パーセントの人は植物に服を熔かされかけたり 撃ちだした種子の一種で死にかけたりした事はないんだろうけど、 それでもそんな非常識を背中に背負う僕にも 植物が意味もなく暴れだすなど 初めての事態だったからだ。 何かカズラに妙な事をしてしまっただろうか? 朝にあげた水が良くなかったとか。 そういえば最近産地偽装が流行ってるよな。 そう考える暇もなかった。 カズラが体をぶつけていた所は トタン板でおざなりに応急処置してあっただけらしく。 「え」 猛アタックに悲鳴を上げたトタン板はついに破れ、 開いた穴に突進したカズラに引っ張られて 僕は転げ落ちたのだ。
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