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「うっ、がっ、ごっ、ぼべしゃっ!」
あまり人の体、特に自分の物で聞きたくない音を数回立てて
傾斜四十五度の鋭角に頭やら腰やらを打ち付けていく。
どうやら僕が転げ落ちた所は階段だったらしい。
最後に鉄網の壁をぶち抜いて
ぐるぐる回る視界はようやく落ち着いた。
ばりばりのインドア派である僕の体は
複数の打撲の痛みで悲鳴をあげていた。
いや、この際インドア派とか関係ない。
すっごい痛い。
「カズラー……」
原因であるカズラを恨みがましく睨みつけてみるも、
当の本人(植物もどき)も先ほどの階段落ちで
相当なダメージを負ったらしい。
花や葉っぱをしんなりさせて僕の背中に崩れ落ちていた。
そしてそのカズラの視線(と思われる)で、
僕は自分の下に人がいる事に気付いた。
そういえば、最後の衝撃はこころもち柔らかかったような……?
その触れれば切れそうな整った顔立ちと
衝撃のハプニングで僕は数秒停止してしまった。
あ、結構まつげ長い。
うっかり目が合ってしまった。
近い。
すっごい至近距離。
「……おい」
「はいっ!」
下敷きになっている人は眉間にしわを寄せてしかめっ面だ。
そりゃそうだろうが。
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