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「な、なにするのさ」
「そりゃこっちのセリフだ。
なんだお前、いきなり落ちてきやがって」
ガバッと叫んでみるも、
元々悪いのは僕(というかカズラ)であって
そう言われてしまうと反論できない。
突きを放ったばかりの彼女の拳は
不自然な程に空気の流れがまとわりついていた。
これは風、というのだろうか。
それ以前になんでこんな女の子が
成人男性を吹っ飛ばすほどのパンチを出せるんだ?
どこの達人ですかアナタ。
「あたしは忙しいんだ、
関係ないんならとっとと消え……」
忌々しそうに顔をしかめた彼女のセリフが途中で止まった。
「……おい、なんだそりゃ」
指さした先には
階段落ちのダメージの上
更に必殺の突きでとどめを食らった
カズラ が いた。
ああ、忘れてた。
うかつだったけど忘れてた。
どうしよう、なんてごまかそう。
言い訳とごまかしは得意な方だけれど、
立て続けのハプニングで頭が働かない。
そうこうしている間にも
カズラは情けない鳴き声を上げて僕にすり寄ってきた。
ああ、甘えるのはいいけど
もっと別の時にして欲しかったなぁ!
「どこの冬虫夏草だ」
女の子は呆れたような顔をしてこちらを見ている。
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