一番:追われる彼女と巻き込まれた彼氏

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「な、なにするのさ」 「そりゃこっちのセリフだ。 なんだお前、いきなり落ちてきやがって」 ガバッと叫んでみるも、 元々悪いのは僕(というかカズラ)であって そう言われてしまうと反論できない。 突きを放ったばかりの彼女の拳は 不自然な程に空気の流れがまとわりついていた。 これは風、というのだろうか。 それ以前になんでこんな女の子が 成人男性を吹っ飛ばすほどのパンチを出せるんだ? どこの達人ですかアナタ。 「あたしは忙しいんだ、 関係ないんならとっとと消え……」 忌々しそうに顔をしかめた彼女のセリフが途中で止まった。 「……おい、なんだそりゃ」 指さした先には 階段落ちのダメージの上 更に必殺の突きでとどめを食らった カズラ が いた。 ああ、忘れてた。 うかつだったけど忘れてた。 どうしよう、なんてごまかそう。 言い訳とごまかしは得意な方だけれど、 立て続けのハプニングで頭が働かない。 そうこうしている間にも カズラは情けない鳴き声を上げて僕にすり寄ってきた。 ああ、甘えるのはいいけど もっと別の時にして欲しかったなぁ! 「どこの冬虫夏草だ」 女の子は呆れたような顔をしてこちらを見ている。
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