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分かり切った事聞くんじゃねぇ、と
さらりと言われた言葉に
僕の引きつった愛想笑いは固まった。
今日は一体なんなんだろう。
僕の厄日か?
言葉を探す前に、目の前に数台のパトカーと白バイが勢ぞろいした。
辺りを埋め尽くすように銀色の盾を持った警官達が飛び出してくる。
あー、これはもう厄日とかそんなレベルじゃないかもしれない。
この状況はひょっとして……
『犯人 達 に告ぐ!
君たちは完全に包囲されている!
大人しく手を上げて自首しなさい!』
キーンと耳障りな音を立てる拡声器からは
確かに
犯人達と。
「ちっ、ジジイどもがギャーギャーうるせえんだよ
おい、どうする」
「いやちょっと待って。
なにこれ、
もしかしなくても僕、犯人扱いされてる?」
「もしかしなくてもされてるな。
がんばれ、共犯」
親指たてられてもちっとも嬉しくない。
隠れるところが何もない更地だというのに、
警官は踏み込みもせずに
盾を構えたままだ。
そんな様子を一瞥して、
風香ちゃんは鼻を鳴らした。
ちょっとだけカズラに似ていると思った。
「なーにが完全に包囲だよ、
まだ……」
そう呟いた後、
僕を抱え込んだ後風香ちゃんは助走をつけてから
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