二章:彼女が追われていた訳

3/3
前へ
/56ページ
次へ
オーバーなリアクションに反論を返すと、 朱音は怪訝そうな顔で首を傾げた。 「誰にですか?」 「あたしを敵対視してた暴走族チームにだ。 暇つぶしに毎日数十人はぶったおしてたら、 さすがに目ぇつけられてな……」 そりゃ目ぇ付けられるわ! と言いたげな朱音をスルーして グラスをあおる。 「しっかしあいつらやり口が汚ぇんだもんよ。 果たし状申し込まれて行ってみりゃ 虫みてぇにうじゃうじゃ待ち構えやがってよ、 挙句の果てに一般人巻き込みやがるんだ!」 「え、じゃあ器物破損は」 「不可抗力だ。 むしろ原因を作ったのはあっち!」 壮絶ですね、 と呟いた朱音は一息ついてジュースを注いだ。 さすがにもうこの時点で腹いっぱいのようだ。 「だがまぁ、 そんな俺が今や元警官の主婦だってんだから 驚きだよなぁ……」 「それはひょっとして柊さんのおかげですかー? さっ、その後何があったんですか?!」 あ、もう立ち直りやがった。 早っ。 付き合ってられないよというように 黒猫があくびをする。 深夜故に、 静まり返った空間に時計の秒針が進む音が響く。その静寂を破るように あたしはまた口を開いた。 .
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

150人が本棚に入れています
本棚に追加