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「ただの喧嘩でビル一軒、壊したと?」
そろそろ日が沈みかけた夕暮れ。
共犯扱いされた僕は
彼女に連れられて知らない裏通りへ来ていた。
その間なぜ彼女が警察に追われる事になったかを
問いただしたところ、
僕は開いた口がふさがらなくなった。
その顔が面白いのか、
カズラは嬉しそうに僕の唇を引っ張っている。
前を歩いている風香ちゃんは気にした様子もなく
何かを考え込んでいるようだ。
「そうだ。
なんとかしてこの逃亡生活終わらせんと、
学校に通えない。
もうじき遠足があるし」
学校通ってたんだ、この子。
ていうか何気に遠足楽しみにしてる。
「とりあえず暴れる原因を作った
暴走族共をぼこ殴りにして警察に突き出しゃ
あたしのはチャラになんねーかな?」
聞かれてもなぁ……
完全包囲されるほど危険視されてるんだから
無理な気がする。
「ま、でもあたしはどのみち
刑務所行きにはならねーだろうがな」
自信満々に言い放った言葉に、
さっきの更地でのセリフも気になって
僕は尋ねてみた。
「なんで?」
「んなの決まってんだろ。
女一人が、この腕でビル一軒壊せると思うか?
常識で考えてみろ、無理に決まってんだろうが!」
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