三等:つっぱる彼女と怒った彼氏

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風香ちゃんは僕の方を振り返って腕をまくりあげた。 意外と白い腕が夕陽を背景にしてよく映える。 それはそうだろう。 物理的に不可能だ。 でも、彼女は現代のこの国で 認められていない力を持っている。 だからできた。 「警察だって『ビル一軒を素手で壊した女を逮捕した』なんて 公表すりゃキチガイだと思われて終いだぜ。 例えしょっ引かれても 証拠不十分で釈放されるだろうよ」 『あたしは何やったって許されるんだ』 彼女のセリフがそんな風に聞こえて、 僕は思わず叫んでいた。 「そんなの……おかしいだろ!」 「あ?」 「この国で認識されていない力を持っているから 自分が偉いとでも思っているのか!? 法律があってそれを守るから 僕らはこの国に守られているんだ! 自分だけ特別なんて、 思い上がりも甚だしいぞ!」 「『この国に守られている』?」 別に今回のは風香ちゃんが全て悪い訳じゃないけれど、 と続けようとした言葉は 彼女の低い声で遮られた。 ゆらりと立つ彼女の雰囲気は さすが暴走族数百人と渡り歩いてきただけのことはあって。 あ、やばいこれ 地雷踏んだ? .
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