零号:彼女が出会った訳

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則渡 風香(ノリト フウカ)、 旧姓 馬上。 小さい頃に他界した親に代わり 弟を女手一つで育て上げ、 警官に就職。 数年ほど活躍した後 先ほど平手打ちした 則渡 柊(ノリト ヒイラギ)と結婚して寿退社。 こんな口調だが一応性別は女である。 「一生の不覚だぜドチクショー」 あまり弱くはない酒を一気に飲み干し、 空のグラスを乱暴に叩きつける。 「あんまり飲みすぎると明日辛いですよ?」 「うっせぇ! ぐだぐだ言ってねーでおめーも飲め!」 「残念、あと一年経ったら 私もお酒飲めるんだけど」 そう言いながらジュースをちびちび飲むのは あたしが上がり込んだ部屋の主、 三峰 朱音(ミツミネ アカネ)だ。 こいつの親は柊が経営する薬屋のお得意様で、 ノリが合うため娘のこいつとも仲良くやっている。 ちなみに我が弟、風太(フウタ)の同級生でもある。 勢い余って入り込んだはいいが、 生憎朱音の両親は旅行に行っているそうで。 そこであたしが泊まり込むことを了承した朱音と 酒盛り(飲んでいるのはあたし一人だが)している訳だ。 「それにしても珍しいですね、 風香さんと柊先生が喧嘩するなんて」
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