三等:つっぱる彼女と怒った彼氏

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カズラの吐く酸は蟻酸並みのPHだ。 アスファルトを溶かして相手を注目させる位の 白煙を出す事はたやすい。 それにしても刑事さんから逃げちゃったよ、 これって器物破損に入るよなぁやっぱ、 と段々鬱になってきたネガティブ思考は止まらない。 そんな僕を見て、 カズラの酸の説明を分からないながらも 自分なりに解釈したのだろう。 「柊さんは薬屋さんなの?」 風太君の質問にはて、と返答に詰まった。 確かに薬剤師を目指している事に変わりはない。 薬剤師は薬屋さん。 おおまかな意味で言えばそれも合っている。 だけど、カズラや僕の背に生える植物達は 僕が学ぶ薬学には出てこない。 彼らの出す分泌物は効き目が突飛過ぎる。 本当は少し彼らに興味がある。 彼らは何で構成されているのか、 混ぜ合わせてみればどういう効き目をもたらすのか。 だけど、 研究をするなら周りにばらさなきゃいけない。 この力は、隠しておかなければいけない。 「……風太君、さっきの煙幕だけど」 「はい、あの植物ですか?」 「あれは僕が秘密裏に育てている極秘生物だ。 世に出れば大変な事になる、 さっきの事は全体的に是非秘密にしておいてほしい」 .
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