150人が本棚に入れています
本棚に追加
必死でかばうその姿に、
彼女は本当にいい姉のようだと悟る。
ん、待てよ?
働いてる?
生活費のためだろうか。
ならば、両親はどうなんだ?
いや、親戚だっているはずだろう。
いくらいないと言っても
必要最低限くらいのお金位は送ってくれるはずだ。
僕がその事を考えているのが
分かったのか、
風太君は今にも泣きそうな顔で俯いた。
そろそろ夕日が地平線に沈む。
夜が姿を現そうとしていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~
「よう、遅かったな!
何かあったかと心配したぜ」
確かに何かはあったけどね。
風香ちゃんと合流した後
連れてこられた場所は
ただっぴろい河原だった。
一陣の風が吹き抜けて鳥肌が立つ。
今日が何月何日か正確な事を覚えている訳ではないが、
少なくとも夏ではない。
しかも夜だ。
寒い事この上ない。
「風香ちゃん、ここへは何をしに……?」
「決まってんだろ、野宿だ」
子供もいるんだよ!?
まさかと思ったが、どうやらマジらしい。
彼女はテキパキとした所作で簡易テントを張り始めた。
.
最初のコメントを投稿しよう!