三等:つっぱる彼女と怒った彼氏

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「ここの近くに廃墟があってな、 そこが暴走族のアジトだ。 朝になったら殴りこみに行く」 殴り込む前に凍死すれば どうしようもないと思うんだけどなぁ。 色々突っ込みどころはあるものの、 風香ちゃんは本気だ。 せめて近くのホテルに泊まるとかしたらどうだと 言いたかったが、 あのアパートに住んでいるのを見る限り 彼女たちにそんな所持金はないだろう。 薬局帰りの僕にだって三人分泊めてあげるだけの お金はない。 「しょうがないなぁ…… ナツ」 風太君がよそを向いている隙にこっそりと力を使う。 呼びかけに応じて出てきてくれたのは 巨大なツタ、『ナツ』(と呼んでいる何か)だ。 カズラと同じような外見をしているナツだが 彼は『ジャックと豆の木』に出てきそうな程の大きさを誇る。 僕の指示であっという間にテントを覆ったナツは、 すぐさま本体とテントを覆った部分を切り離して 僕の背中へ戻って行った。 彼の体は物質が変形しない程度に発熱する。 本体から切り離しても効果は数時間持続するので 長旅に優れ物だ。 一部始終を見ていた風香ちゃんが口笛を吹いた。 「スゲーな。 ちなみに発熱のエネルギーはどっから?」
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